さてさて、此度の『湯巡り道中記』は、TAM家の御局(お母上)様が、お誕生日祝いのご所望にて、 大殿様にお二人の姫君(よし姫、りえ姫)様、そして従者に伴侍の『忠則助さん』の代わりに『憲昭格さん』が加わり、 小雨降る夜更けに出発したのでありました。
雨脚も止む間なく降り続き、ひたすら『山陽道』を西へと向い九州側へ渡ったのは日付けの変わった深夜にて、 まず最初に着いた所は『はげの湯』温泉の中の『くぬぎの湯』でこの最近は我等が『常湯』として好んで毎回利用致しておる終夜いつでも入れる『時間貸切り』がなかなか結構にて、 ひとまずここで道中の疲れを癒し、『温泉玉子』をツマに風呂上がりのビールを楽しんだのでありました。
『雨は夜更け過ぎに雪へと変わり・・・』だんだんと積もる様子に、この『移動旅篭』が動けなくなるのを懸念し、 急遽『黒川温泉』へ移って夜を明かすことに致し、街中にある『篭置場』に泊めてしばしの仮眠を致しました。
さて、この日の第一湯めは『やまびこ旅館』内にある露店風呂を頂き、 なかなか風情のある広い『岩風呂』にて朝一のまさしく『お目覚めの湯』でありました。
目覚めすっきりとした所で、この時季ここらで『雪景色』を眺めることが出来るとは思いの他にて、 それでは『阿蘇山』へ上がってみようと『ロープウエイ』乗り場へ行くも、本日は『火口』付近に近寄れないので、 あきらめて途中の眺めの良い所にて『中食』となりました。
道中の『やまなみ街道』も雪景色にて、たいそう美しく銀嶺の山々はここが九州かと見紛うばかりの風景でした。ゆっくりと風情を楽しみ乍ら、 今日のお宿『筋湯温泉』の『喜安屋旅館』へ早々と到着致し、本日第二湯めの町営『うたせの湯』へ参る。
ここは露天風呂ではないが、文字どうり『うたせ湯』が数列あり少々その音がそうぞうしくもあり、いわゆる街の銭湯の風情でありました。
温泉街としては、あまり大きくもなく、標高の高い所に位置しており、浴衣姿でそぞろ歩きにはとても寒かった。
TAM 投宿先の『旅篭』は古い建物をリニューアルされたようで、落ち着いた『民芸風』のイメージにて、 夕食も品数多く拙者にとっては久し振りの『大名旅行』になりました。
さて、『食後の湯』は本日第三湯めの『旅篭の外湯』へ送迎付きにて参りました。
ここは屋根囲い付きの露天風呂にて、暗がりではあったが残雪が月明かりに白く浮び今日一日は『いい湯、いい飯、いい景色』と、 まさしく祝着至極に存じ奉り候。
翌朝の『め覚ましの湯』は、これ又町営の露天風呂『岩ん湯』と言う、他の旅館の内湯と隣接した、 小じんまりとした『ただこの湯』でありました。
北九州から来たと言う中年の男性と暫し会話を致し、 『食前の湯』となりました。
宿へ戻り内湯の『赤石の湯』へも入り、ここは家族風呂でもあり小人数しか入れない『石の浴槽』でした。
SEI 旅篭での朝食を済ませ、お天気も良く一路湯布院経由にて別府へと向かう。
途中ビデオ撮影や『峠の茶屋』にて休憩したり、 十分に景色を楽しみ乍ら『鶴見岳』へと上がりました。
『ロープウエイ』で頂上まで登り、眼下に別府湾遠くに国東半島を見渡せもう少し遅ければ、山桜が綺麗に咲く頃かと、 惜しみつつ下山しました。
ここで一句、 『名残雪 見下ろす湯の街 鶴見岳』 湯爺郎ここまで来たら『とどめの湯』?紺屋地獄の『泥湯』へ入らぬ手はないと、 御局様姫君とも初体験とのご期待にお楽しみの『メイン・イベント』を用意致して参上仕り候。
これまでは夕方か朝方しか入ったことがなく、こんな昼間のカンカン照りに入浴したのは初体験、 密かに『金髪美人』がおりはせぬかと期待したが、残念乍ら熟年夫婦と若い男の4人組、風呂上がりに『二言三言片コト』? 英会話して国際親善に一役買って此度の道中記の締めくくりと致しました。
いやはや、此度の『諸国湯巡り道中』は、御局様、 大殿様、お姫様ともたいそうご満足のご様子にて、お伴の格さんも誠に祝着至極に存じ候。
これにて『春の湯巡り道中記』一巻の終わり、、、。
著作 葉木仁家 男爺(SEI)